この国の未来を考える

この国の裁判官

判決以前の問題

916日、いわゆる「辺野古違法確認訴訟」の判決がありました。結果はご存知の通りだと思いますが、個人的な感想としては、あまりに露骨な裁判だったと思っています。
私は関東に在住しているので、本土の新聞では詳しいことがなかなか入ってきません。けれども沖縄の新聞を購読するには厳しい貧乏暮らしのため、仕方がないのでWEBの無料ニュースを読んでいます。判決の翌日に解説記事がありました。社会部の記者が書いたものですが興味のある方は読んでみてください。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/62536
沖縄タイムス・プラス 「辺野古ありき」判決 違法確認訴訟 基地問題の本質無視

この記事を読んで驚いたのは「判決」だけでなく裁判長の訴訟指揮でした。一つ目は「前知事の承認には瑕疵がある」という沖縄県の主張を立証するための機会が十分に与えられなかったことです。二つ目は「沖縄に地理的優位性があり、海兵隊の航空部隊を県外に移転することはできない」と判断するならば、事実認定をする際の必要な〝審理〟をしなかったことです。その証拠に、県側の申請した安全保障や環境の専門家の証言を認めませんでした。なんと書類審理だけです。その他の問題点や争点は記事に詳しく書かれているので、ぜひ参考にしてください。

しかしびっくりしました。裁判長と他の二人の裁判官は安全保障や環境について相当詳しいのでしょうか。それとも違法かどうかの判断だから、そのような証言は必要ないと考えたのでしょうか。けれどもそれでは、辺野古以外にはないと判断した根拠を明確にしなければいけないはずです。こんなことは法律の専門家でなくても当り前のことだと思います。
県側に立証の機会を与えなかったことは、無罪を主張している被告人に対して検察の証拠のみで判断しようとしている、いわゆる「冤罪」の構図を連想してしまうのですが、それは極論でしょうか。しかし少なくともこの判決が論理破綻しているのは明らかです。


裁判長の本性もしくは本音

この裁判長の嫌らしいところは双方に〝良い顔〟をしたことです。聞こえによっては「両方の顔を立てた」と解釈できるかもしれませんが、やり方は〝姑息〟の一言です。「話し合いで解決すべき」という和解勧告をしたのも、沖縄よりの姿勢を取ったように〝見せかけた〟だけと考えて間違いないでしょう。
おそらく結論は最初から決まっていた。いきなり国側べったりの判決では沖縄世論の反発が怖かった。なにしろ高裁と言っても「那覇支部」ですから。
裁判長も他の裁判官も結局は、和解しない県が悪い、国の指示に従わない県が悪い、安倍政権に逆らって反対の民意を示す沖縄の人々が悪い、と考えているのでしょう。その姿は、憲法で独立を保障されている裁判官とはとても思えません。法律の番人・憲法の番人、さらには「人権の最後の砦」という言葉が虚しく聞こえてきます。

良かったですね、裁判長殿。これで最高裁判事の道が開けたのではないですか? 政権の覚えがよろしいでしょうから任官も夢ではないかもしれない。そうですよね、建て前としては最高裁長官の意見を聞くことになっていますが、指名するのは内閣です(正確には閣議決定)。政府のご機嫌を損ねるわけにはいきませんからね。

この国の裁判官の実態を示す一例とも言えますが、これでは最高裁の判決も期待できないでしょう。まぁ〝期待〟するほうが間違っているのですが・・・。

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アベノミクスの後始末

アベノミクスのからくり、とは?

東京新聞の論壇時評で東工大教授の中島岳志氏が、吉田徹「時間かせぎの政治」(『世界』9月号)を解説しているので、その要点を引用します。


・・・(前略)・・・吉田が強調するのは、「期待値の操作」である。政策の当事者たちは「アベノミクスが成功しないのは、アベノミクスが不足しているからだ」と言い続ける。すると、景気回復の実感がない人ほど、いつかは自分にも恩恵が及ぶはずと思ってしまう。結果、「マイナスの実感があってこそ、それらは期待値へと転換される」。ここに安倍内閣が支持される逆説が存在する。・・・(中略)・・・
・・・(中略)・・・吉田は安倍政治の本質を「時間かせぎの政治」と論じる。アベノミクスが実現しないことによってこそ維持される政権は、「破局に向かう政治の『時間かせぎ』にしかならない。そんなことをしている間に、日本は体力を失っていく。本当は時間かせぎをしている場合ではない・・・(後略)・・・


この指摘に限らず、アベノミクスが〝ごまかし〟であることは多くの人が論じています。その中でもこの解説は、いまだに安倍政権の支持率が落ちないことを適切に述べていると思います。そして後半ではアベノミクスへの対案としての提言を、井出英策の著書「18歳からの格差論 日本に本当に必要なもの」(東洋経済新報社)から見出して解説しています。私自身は書籍を読んでいないので詳細は省きますが、かねてから危惧していることを他の人も、やはり同じように感じているのだなと思いました。

リベラルでも保守本流でもどちらでも良いですから、アベノミクスの後始末の工程を提示する時期ではないでしょうか。もう遅いぐらいですが・・・。
安倍政権が永遠に続くわけではありませんし、悲願である「憲法改正」のためにアベノミクスという幻想で国民を騙しているに過ぎません。騙されている国民にも非はありますが、その正体をなかなか暴けない野党・リベラル側、さらにはマスコミの責任は重いと言わざるを得ません。

 

アベノミクスの結末

私は経済の専門家ではないけれど、物と金が循環しなければ市場経済が成り立たないことぐらいは理解しています。お金の流通量だけを増やしても、その金は大企業の金庫に入って株などに投資されるだけ。株で利益を上げるのは機関投資家と一部の金持ち。お金は物と一緒に流れてゆくのが基本のはずですから、これでは経済が良くなるはずがありません。
安倍政権は原発の輸出や武器製造に力を入れるようですが、これらが〝循環〟に役立つとはどうしても思えない。なぜなら日本が高度成長できた理由を考えれば、答えがはっきりしているからです。
家電や車などの、多くの人々の生活を向上させる商品を開発し、それを国内に限らず地球規模で循環させることができたからこそ、莫大な利益を上げることができたのではないでしょうか。そしてその利益から収められた「税」で、色々な社会資本の整備ができたのではないでしょうか。原発や武器製造が地球規模で循環し、多くの人々の生活向上に役立つ物でしょうか? 事故を起こせば原発がどうなるか、私たちはフクシマで体験しています。武器は「戦争」がなければ消費されません。このままでは日本は、まさしく「死の商人」になり下がってしまいます。そうなれば多くの人から〝恨み〟を買うのではないでしょうか。

安倍政権が撤退する時の日本経済は、おそらく相当混乱しているでしょう。格差が増大し、経済を是正するには相当な痛みを伴うことも予想されます。もしかしたら1990年代後半の韓国のように、IMF管理下に入るという事態を予想するのは馬鹿げているのでしょうか。

 

後始末の方法を提示する

今ここで最も必要なことは、国の在り方やどのような社会を目指すことより(もちろん大事なことですが)、アベノミクスからどのように建て直すか、その具体的な方法を提示することだと考えます。その政策に説得力があれば多くの人が幻想から覚めると思えるのです。残念ながら民進党の代表選では、そのような議論がされていないどころか、どうも国民の意識からずれているような気がします。まぁ私自身は、早く消滅するか分裂してほしいと思っているので、ある意味どうでも良いのですが。

3分の2という状況下では法律は通ってしまいますが、まだ選挙権を奪われているわけではありません。総選挙は必ずあるのだから、ひっくり返すことは可能なのです。アベノミクスへの対案とか対論など必要ない。完全撤退を主張して後始末の方法を具体的に示し、その中から一致できるもので野党は提携すれば良いのです。その後の社会を模索するのは安倍政権を倒してからでかまわない。
まずは「安倍政権を倒す」「アベノミクスからの撤退」ありきで、野合で言われようが政党として理念が違うとか、そんなことを考えている時間はないのです。安全保障に対する考え方が違うかなどは政権を取ってからやりあえばいい。その時こそ、安全保障を争点にして「信を問えば」良いのでは?

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「テロ準備罪」と弾圧国家

「テロ準備罪」という名に変わりそうな「共謀罪」

以前に、法律とは「解釈と運用」であると書きました。法律を作る側の大半は官僚ですが、目的によって自分たち(運用する側)に都合良く〝解釈〟できるように幅を持たせます。また運用の際に国民が有利になるときは、なるべく〝解釈の範囲〟を狭めようとします。

「テロ準備罪」と名称を変えて「共謀罪」の成立を今秋の国会で目指すという報道がありました。何度も廃案となった法律ですが、自民党と法務官僚はどうしても悲願を達成させたいようです。参院選で一言も言及しなかったのは安保法や秘密保護法の時と同じ手法ですが、3分の2という状況が政権と官僚をますます増長させているようです。けれども、それも国民の責任と言えばそうなのですが・・・。

「テロ等組織犯罪準備罪」という罪名らしいですが、「等」と書いてあることに意味があります。「テロ」の定義はさておいて、この「等」とは、テロに匹敵するものと判断できれば適用できることになります。
では判断する人は誰でしょうか? 説明の必要もないでしょう。運用する側=警察です。テロ等と認定できれば逮捕が可能になる。警察を管理するのは、法務省であり国家公安委員会であり政権でもあるのです。

現在、心配されていることは反原発活動や反安保法活動に対する適用です。それは飛躍し過ぎではないか、と思われる人もいるでしょう。けれども昨年だったでしょうか、ある自民党の有力議員が金曜デモに対して、「あれはテロだ」と発言したことがありましたよね。
要するに「示威行為」であっても、解釈する側が〝テロを準備している〟と判断すれば運用は可能になるのです。裁判になればそんな解釈は通らないと考えるかもしれませんが、保釈が認められなければ拘束は続くのです。そうなれば〝牽制〟するという意味での効果は絶大です。

法案の内容に関しては専門家に委ねるとして、私が野党議員に求めることは、成立を阻めなくても「等」という言葉を条文から削除させてほしい。そうすれば「解釈と運用」の幅を狭めることができるからです。

 

弾圧は始まっている

823日付け・東京新聞朝刊「こちら特報部」の記事によると、820日・沖縄県高江でのヘリパッド建設をめぐる抗議活動を取材していた地元の記者が、警察による排除だけでなく一時拘束もされ、さらには821日・霞が関の脱原発テント周辺で取材中のフリーカメラマンが、「公務執行妨害」の容疑で逮捕されたと書かれています。

記事から引用します
・・・(略)・・・座り込む市民に対し、機動隊が強制排除を始めた。その際、琉球新報の腕章を着け、撮影していた女性記者が機動隊員に羽交い絞めにされ、四十㍍ほど引っ張られた。記者と分かると一度は放したが、記者が現場に戻ると別の隊員らが両腕をつかみ、離れた場所に引きずり、取り囲んだ。
記者は排除の根拠を聞いたが、無視され、約十五分間、身動きが取れず、取材ができなかった。沖縄タイムスの記者も同様に警察に取材を妨害された。
琉球新報の普久原均編集局長は「正当な取材。現場には県民に伝えるべきことがあった。強制排除は報道の自由を侵害する」と抗議したが、沖縄県警は同紙に「安全確保のために排除した。記者とは明確に分からなかった」と答えた。
・・・(略)・・・現場にいた小口幸人弁護士は「隊員により、記者への対応が違った。強制排除は法律に基づくが、記者は対象外。それを分かっていないのでは」と語った。
さらにフリーカメラマンについては、
・・・(略)・・・同日、カメラマンと面会した大口昭彦弁護士は「公務の内容やどんな暴行や脅迫があったのか、警察は本人に説明していない。被疑事実を警察に聞いたが、説明はなかった」と言う。
「本人は警察官との身体的な接触を否定している。撮影中に体を押さえ付けられ、訳が分からないまま拘束されたそうだ。脱原発運動を取材してきた人で、目を付けられていたのか」
こうした度を越した警察の強権的な対応は、報道の自由を侵害している・・・(略)・・・


この二件が直ちに「テロ準備罪」の要件に関わるものとは思いませんが、記事の指摘通り、報道の自由の侵害だけでなく、警察の逮捕権の乱用であり、一時拘束も含めて「弾圧」なのは明らかだと思います。まさしく「運用の拡大解釈」によるもので、これを「弾圧」と呼ばずに何と表現すればよいのでしょうか。

フリーカメラマンのその後がどうなったのか、報道されていないのでわかりませんが、記事通りなら起訴は難しいと思うので、おそらく「処分保留」で釈放されたのではと考えています。けれども、例えそうであっても「威嚇」効果はあったでしょう。
これを書いている前日(96日)、高江で反対活動をしている女性が逮捕された事実をユーチューブの動画で知りました。状況から察すれば「弾圧」なのは明らかです

自民党が画策している緊急事態条項(国家緊急権)を、事実上先取りしているような状況と言えるでしょう。政権に逆らえば法律などお構いなしに何でもアリ・・・。
内閣が、法律と同等の効力を持つ「政令」を定めることができる国家緊急権ができれば、今、沖縄の高江と辺野古で繰り広げられていることが、冗談抜きで日本本土でも起きるでしょう。私たち市民は、どう戦うべきか真剣に考え、さらには行動に移す時期に来ているようです。

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カイトアキラ

Author:カイトアキラ
もうすぐ老人と呼ばれる年齢になりました。
今までオートレース・ギャンブルについて書きましたが、今の日本の状況を考えると、たとえ影響力がなくても、もしかしたら若い人たちに響いてくれたら、という微かな希望を持ってブログを続けようと思います。
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