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この国の未来を考える

この国は壊れてしまったけれど・・・・ その2

検察も壊れてしまったのか?

朝日新聞のスクープを知った時、これは財務省から第二の前川氏の出現したのではと前々回のブログに書きました。けれどもその後の報道と展開からすると、どうも大阪地検のリークだったようです。
 スクープの当日にネット番組で、あるジャーナリストが「これは大阪地検のリークらしい」と言っており、その理由として「大阪はやる気なのだが東京が止めており、それに対抗するための突破口にするためだ」と指摘していました。

 

 正直私は、いくらなんでも、そこまで落ちぶれてはいないだろうと思いました。なぜなら、もし大阪地検が公文書の原本を入手したのなら、その時点で強制捜査に入るはずだと考えたからです。だって背任容疑の捜査を行うための絶好の切り口が見つかったのですよ。しかも財務省の方からコケてくれた。いわゆる敵失だから見逃す方がおかしい。ですから私は「第二の前川氏の出現」と喜び、同時にこれは、調査報道によって初めて政権を倒されるという、憲政史上で一度もなかったことが実現するのではと思ったのです。ところが・・・

 

報道では改竄の事実に気づいた大阪地検が、それを財務省に指摘をして原本を提出させたとあります。しかも会計検査院までもが知っていた。
 これはいったいどういうことなのか? なぜ強制捜査に着手しなかったのか? 私にはまったく理解ができないのです。

 

忖度という便利な言葉がだいぶ流通してしまったけれど、これは違うのではないか。要するに、最初から「やる気」がなかったとしか思えないのです。捜査を長引かせているのも、どうか政治の側で処理をしてほしいというメッセージではないか。それは〝失敗したくない〟という検察の「保身」以外の何ものでもないと思えてなりません。

 

 

 

ロッキード事件を振り返る

 ロッキード事件で田中角栄元首相が逮捕されたのは私が高校生の時でした。今から約42年前の話ですからね、私も爺になったものです(^-^;

 

 直接の逮捕容疑は「外為法違反」と「受託収賄」で発覚してから約半年後のことでした。だいぶ昔のことですが、その日のことは今でも鮮明に覚えています。というのは私の記憶が正しければ、ほとんどの新聞で号外を出たこと、さらには、もちろん全局生中継だったはずだからです。
 その時の素直な感想は、この国は、総理大臣になった人間でも悪いことをすれば逮捕されるのだ、という高校生らしい素直なものでした。なにしろ隣の韓国は軍部独裁政権、フィリピンもマルコスの独裁でしたし、中国の文革は終わっていたけれど江青などの四人組はまだ逮捕されていなかったので、日本という国に生まれて良かったと、少し誇らしく思ったのを憶えています。

 

 1974年にニクソン大統領が辞任に追い込まれ、1975年にはベトナムからアメリカ軍が追い出されて南北が統一されるなど、権力や権威の崩壊を目の当たりすることが続いたこともあって、元総理大臣の逮捕という現実は、高校生という多感な時期の私にそれなりの影響を与えました。ちなみに「総理の犯罪」と名付けたのは、当時朝日ジャーナルの副編集長だった故・筑紫哲也氏だったと記憶しています。

 

 外為法違反は通称で、正しくは外国為替及び外国貿易管理法です。内容については、この事件はたくさんの書籍が刊行されていますので省きますが、なぜこれを持ち出したのかと言いうと、実はこの容疑は当時から物議があったからです。刑事罰はありますが、よほど悪質でない限り、基本的には罰金が主であると解説されていました。ただし現在では改正されていて罰則規定も重くなっています。

 

要するに罰金刑に値するような〝チンケな罪〟で、元総理大臣を逮捕することは何事か! というものでした。なぜかと言うと受託収賄でも逮捕されているのですが、捜査の端緒は外為法違反だったからです。ですから家宅捜索令状申請や出頭要請の名目は、当初はすべて外為法違反容疑でした。

 

 特捜部が捜査に着手するケースは二つあります。それは、
1、内部告発、いわゆる「タレコミ」
2、犯罪の可能性もしくは疑惑が報道される

 

検察にとって一番好ましいのはもちろん1です。この場合は、まず内偵を行ってマスコミには一切流しません。証拠隠滅や口裏合わせを防ぐためですが、ある程度の段階になれば強制捜査を行い、時間をかけずに容疑者を逮捕します。

 

しかし2の場合は実にやっかいになります。その理由は、報道が先行しているため証拠隠滅や口裏合わせをされてしまうからで、そうなると事件の全体像や、鍵となる人物の特定が難しくなってくるのです。ですから、よく検察は何をやっているのだという声が出るけれど、技術的に難しい部分があるのも事実ですから、腰が重たくなるのもある意味理解はできるのです。

 

 

 

捜査の端緒

 ロッキード事件は2に該当する事件でした。しかし発覚したきっかけは報道ではなく、アメリカ上院での議会証言だったのです。いわゆる「コーチャン証言」と呼ばれるもので、これはロッキード社が全日空に航空機を売り込むために、丸紅という商社を通じて政治家(田中角栄氏)に現金を渡したと、その担当であったコーチャン氏が議会で証言したのです。

 

 もちろん即座に日本にも報道されたので大騒ぎとなりました。その時の田中角栄氏は金脈批判が激しかったことから、すでに首相の座から降りていましたが最大派閥の長ということもあり、実質的には政界のボスで絶大な権力を持っていました。ただ現在の安倍一強と比較しても意味はないでしょう。時代が違い過ぎるからです。
 ちなみに事件が発覚した時の総理大臣は三木武夫氏でした。けれども投票で選ばれたのではなく、田中金脈批判が厳しくて世論の反発もあったことから、自民党は仕方なく最少派閥でクリーンなイメージのあった三木氏を総理にしただけでした。当時はこれを「椎名裁定」と呼んでいたのですが興味のある方は調べてみてください。

 

 話を元に戻します。犯罪の可能性が疑われる一報が、報道ならともかく他国の議会証言からもたらされたのです。当然検察は困りました。いくら証言で名前が出たからといって、それだけで出頭要請や令状を取ることはできません。なぜなら日本の議会証言なら法的根拠がなるけれど、他国の議会証言では法的根拠にならないからです。

 

では東京地検特捜部は何をしたのか? 何名だったかは忘れたけれど、アメリカに検事を派遣したのです。そして議会と交渉して証言記録を入手しました。コーチャン氏に直接話を聞いたのかどうかまでは知らないけれど。

 

記録を持ち帰った特捜部はそれを翻訳し、犯罪要件があるかを精査しました。その過程で見つけたのが外為法違反だったのです。そしてこれを突破口にして強制捜査に着手したのです。

 

 

 

もう一つの壁

 強制捜査への端緒はできましたが、あくまでも目的は受託収賄罪です。なにしろ贈った側が証言しているのですから。しかしそこには「職務権限」という大きな壁が存在していました。

 

 ロッキード事件の本質は全日空社の航空機選定に纏わる贈収賄です。しかし全日空は、実質的には半官半民とはいえ一応民間会社ですから、本来なら政治が関わることはないはずです。けれども所轄官庁は運輸省(現在の国土交通省)なので、安全性や運輸行政に大きく関係してきますから航空機選定に運輸省の意向が入るのは当然とされていました。ですから運輸大臣には当然「職務権限」があると考えられていました。

 

では総理大臣はどうなのだ、という声が出てくるのも当然です。総理大臣は直接選定には関わっていない、ならば現金を渡したとしてもそれは献金であり、収賄には当たらないという考えでした。私の記憶では当時の法曹界も意見が割れていたと思います。

 

 だが当時の東京地検特捜部は、この「職務権限」に踏み込んだのです。それは、内閣総理大臣は内閣全体を管理する権限と責務を負っているだけでなく、各大臣の任免権を有していることから、大臣を指導・監督する権限を持っているとしたのでした。ですから、たとえ直接選定に関わっていなくても「職務権限」があると解釈して逮捕に踏み切ったのです。

 

その後はみなさんも知っている通り、裁判所は総理大臣の職務権限を認定して田中角栄氏を有罪にしました。以後、内閣総理大臣は、各大臣の行為であっても責任を有するという考えが定着したのです。
 今回の森友事件でも、たとえ安倍首相が関わっていようがいまいが、財務省が関わった事件である以上、総理大臣の責任が免れないことは、ロッキード事件を見れば言うまでもないことは明らかです。

 

 

 

検察の〝気概〟とは

 外為法違反は間違いなく別件逮捕です。ですから当時でも、この手法に対する批判はありました。確かに別件逮捕は冤罪の温床となり、本来なら慎むべき捜査手法だと考えます。幾多の事件で人権侵害を引き起こしたのは事実ですから、そういう意味では民間人に対してはやるべきことではないと思います。

 

 けれども権力者に対してはどうなのか? 権力を持った政治家は簡単にはボロを出しません。ならば、たとえ禁じ手であったとしても捜査権を持った側は、時には踏み出さねばならない時もあるのではないでしょうか。

 

 ロッキード事件の時の地検特捜部は、まさしくそうでした。一言で言えば〝権力を怖れなかった〟のです。もちろん忖度などもあり得ない。もし失敗したら特捜部が潰されるだけでなく、捜査に関わった検事たちは退官を迫られたはずです。それでも怯まなかった。私はそこに、当時の検事たちの〝気概〟を感じるのです。

 

 ちなみにリクルート事件の時も「壁」はあったのですよ。それは、未公開株譲渡が賄賂になるのか、というものです。なにしろ株というものは上場されてはじめて現金化が可能になるわけですから、未公開株にはそれだけの価値がないという考えでした。しかも当時の社長は広い範囲でバラ撒いたので贈収賄の認識がなかったのでは、という意見があったのも事実です。
 けれどもこれも、みなさんが知っている通り有罪になりました。裁判所の判断も明確で、たとえその時に価値がなくても将来的に値上がりが見込めるのなら、それは賄賂として成立するというものでした。そう言えばこれも発覚したのは朝日新聞の調査報道でしたね。

 

 私が言いたいのは、職務権限にしても未公開株の譲渡にしても、今では当たり前になっていることは、実はこういう積み重ねがあって出来たものなのです。ということは、もし検察が踏み出さなかったら、こういう解釈は今でもなかったことになるのです。

 

 いつの時代でも法を犯す側は、あの手この手を使ってすり抜けようとします。それと戦うためには、時には新しい解釈や柔軟性を持たねばいけないのです。では今の検察はどうでしょうか? 次回に続きます。

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カイトアキラ

Author:カイトアキラ
2019年は強権国家への道を阻むことができた最後の年だったと、20年後や30年後に言われているかもしれません。もっともその時、日本という国家または日本人という民族が存続しているのかわからないけれど。
今夏には参院選があり、同日選も取り沙汰されています。ここで、少なくとも参院選で与野党が逆転しなければ「安倍独裁」が冗談ではなくなるでしょう。けれども野党の動向を見ていると心もとないと言うしかありません。しかし諦めたらそれで終わりです。微力ながら発言を続けていきます。

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