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この国の未来を考える

「ペンタゴン・ペーパーズ」という映画を観てきました

報道の自由を守るためには何を為すべきか

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』という映画を観てきました。劇場まで足を運んだのは十年振り、いや、それ以上のような気がします。

 

 この映画の存在を知った時、何があっても観たいと思っていました。その理由は、ジャーナリズムに興味を持つきっかけになったのが、この事件を扱った本を読んだからなのです。

 

記憶はかなり曖昧になっていますが、当時通っていた高校の図書室だったか、それとも公立の図書館で読んだのか、ついでに何年生だったのかも忘れました。けれども一気に読み上げてしまったこと、それから、とても興奮したことだけは鮮明に覚えています。

 

本のタイトルは『政府対新聞』という名で、事件当時の朝日新聞・アメリカ特派員だった記者が書いたものでした。ちなみに興奮したと言っても変な意味ではありませんよ(当然だけど)。ドキドキしたのは、報道の自由のためなら相手が大統領でも新聞は戦うということを知ったからです。

 

ペンタゴン・ペーパーズ事件について簡単に触れておきます。これは1971年にニューヨークタイムズが、最高機密文書とされていたベトナム戦争の報告書の一部を報道したことから始まりました。ペンタゴンとは国防総省の俗称ですので、国防総省の文書または報告書ということになります。要するに、現在話題になっている「公文書」と同じです。
 

内容は、ケネディ・ジョンソン政権時代の国防長官が、ベトナム戦争の実態を職員に命じて調査させたものです。7000ページ以上に及ぶ膨大なもので、そこには歴代政権のベトナムへの関わり方や選挙への介入、または幾多の不正行為なども記されていました。しかし最も重要なことは、ベトナム戦争には勝てないと認識していたことなのです。ならば撤退すればいいものを、歴代の大統領は〝戦争に負けた大統領〟という汚名を着るのが嫌でやめようとはしませんでした。劇中でも語られていますが、そのために死ななくてもよかったアメリカの若者がどれだけいたことか。

 

 1971年当時の大統領はニクソンですが、この調査に彼は関わっていないのですから報道されようが構わないはずです。けれども最高機密が漏れたという事実に激怒し、国の安全が脅かされた、さらにはスパイ行為に該当するとして、掲載の差止めを裁判所に訴えたのでした。
 前代未聞です。新聞記事の差止めを政府が司法に要請したことは、それまでのアメリカの歴史では一度もなかったからです。しかしどの国でもアホな裁判官はいるもので、当時の連邦地裁は掲載差止めの仮処分を命じたのでした。
 ニューヨークタイムズに先を越されたワシントンポストも、すぐに文書を手に入れます。しかしそこで議論が起きます。差止めの仮処分が出ているのに、はたして〝掲載すべきか否か〟


詳細はぜひ映画を観ていただくとして、当時の編集主幹だったブラッドリー氏の言葉を引用します。

「報道の自由を守るのは報道することだ」

 

 議論の末、当時の社主だったキャサリン=グラハム氏(女性)が掲載の決断をします(この辺りは、ぜひ映画で)。もちろん政府は同じように差止めを訴えました。しかし掲載翌日には、いくつかの有力紙がワシントンポストに倣って文書を掲載したのです。
 最終的に最高裁は63で差止めを無効にして、ニューヨークタイムズとワシントンポストの勝利で終わりました。この時の最高裁判事の一人が、こう言っています。

「報道機関は国民に仕えるのであって、統治機関に仕えるのではない」

 

 ちなみにですが、この映画の製作と脚本は女性です。キャサリン=グラハム氏は、当時では珍しかった女性経営者でアメリカでも先駆的な女性の一人だったようです。映画では、女性の自立という面もあるようですけれど、その点での描き方は不十分のような気がしますけれど。

 

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』予告編

 

 

 

内部告発者は不幸になるのか?

 ペンタゴンの機密文書を持ち出してコピーを取り、それを報道機関に持ち込んだのはダニエル=エルズバーグ夫妻で、後にスパイ罪で逮捕・起訴されますが捜査機関の違法行為もあって棄却されました。現在のエルズバーグ氏を伝える記事を記載しておきます。

 

内部告発者自身が語るジャーナリズムの危機~『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
   (Asahi Shimbun GLOBEより 藤えりか)

 

 その後のエルズバーグ氏には紆余曲折があったようですが、今でも信念に基づいて生きているようです。ただ驚くのは、当初はアメリカの戦争を「正義の戦争」と考えていたバリバリのタカ派だったことです。それが現地を実際に見たこと、そして歴史を学んだことからアメリカの間違いに気づいてゆくのです。そして、これ以上アメリカの若者を死なせるわけにはいかないと考え、ベトナム戦争を止めるべく文書を報道機関へと持ち込みました。もちろん犯罪であることを承知の上で。けれどもエルズバーグ氏の行いは「正義の行い」として多くの人の支持を得たのです。

 

 どうでしょうか? 首相夫婦を守るために不可解な証言をした〝元官僚〟とエルズバーグ氏の行動。確かに次元が違います。けれども私は深く考えてしまうのです。正義とは、生き方とは、そして幸福とは、を。

 

そうそう、上記の内容とは少し違っていますが、人間は変わりうるという例があったので記載しておきます。

 

「ネット右翼でした」 沖縄に暮らし、記者になって思うこと
  (琉球新報Styleより 2018.4.2

 

なんか、ネトウヨくんたちが発狂しているようですよ。愉快ですねぇ~!(^^)!

 

 

 

民主主義を守るには、民主主義をやらねばならない

 安倍応援団やネトウヨたちは、政権を倒すために報道機関は動いていると、自らの無知を曝け出すような陰謀論を展開しています。けれども公文書改竄を報道しなかったら、それはもう報道機関ではありません。中国や北朝鮮やロシアと同じで、政権にとって都合の良いことしか伝えないのなら広報機関と名を変えるべきなのです。

 

映画の中で、報道は「歴史書の最初の草稿だ」というセリフがあります。実に意味深い言葉ですね。確かにそのような作業があってこそ「民主主義は守られてゆく」と私も思います。

 

公文書改竄の件では、後追い記事で毎日新聞が朝日の援護射撃をしました。この記事を知った時、ペンタゴン・ペーパーズでのワシントンポストのようだと私は感じました。スクープされたのは悔しい。けれども、公文書改竄などという前代未聞の事件を追わない新聞社は新聞ではない。ですが毎日新聞は見事にやってくれた。それは、民主主義を守るための仲間に加わったことを意味するのです。権力と戦うには仲間が必要です。ワシントンポストに続いた他紙のように。

 

民主主義を守るために報道を続ける新聞や雑誌や放送を、私たち市民は支援・応援をしなければいけません。購入するのもそうだし、励ますのもそうです。同時に私たちも、色々な手段を使って声を上げねばなりません。なぜなら民主主義の第一歩は、自らの意見を表明することから始まるからです。

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Author:カイトアキラ
2017年の衆院選は歴史の転換期の一つに数えられるかもしれません。それは良い意味なのか悪い意味なのか、まだ誰にもわかりません。ただ私の感覚では悪い方向へと向かっているという気持ちが強くあります。しかし決して諦めるつもりもありません。私個人のできることなどたかがしれていますが、やらないよりやった方が良いことは間違いありません。そんな気持ちで今後もブログを続けます。

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