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この国の未来を考える

2018・新潟知事選から見えたもの その1

従来の常識が崩れた選挙

 結果に関しては残念としか言いようがないけれど、私は新潟県のみなさんに謝らねばなりません。なぜなら新潟県における選挙の歴史や、その投票行動をろくに知りもせずに、生意気にもブログで呼びかけてしまったからです。恥ずかしくて穴があったら身を隠したいぐらいです。ただ新潟県のみなさんは、政治意識がとても高いというのを勉強できたことは収穫でした。

 

 公示日から選挙情勢に関心を持っていましたが、投票日前日まで与野党候補の接戦が伝えられていました。しかし私には、なぜだろうという疑問が消えなかったのです。
 本来なら野党系知事の不祥事での辞任ですから、与党系が圧勝しても不思議ではないのにそうなっていなかった。ならば野党系の一本化が功を奏し、なおかつ「原発再稼働反対」という点でも一致していた前回同様になるわけですから、知名度の少ない候補者であっても終盤になればリードしてもおかしくない、と考えていたのです。ところが最後まで接戦と報道され結果もその通りになりました。

 

 開票状況をネットで追っていたのですが、これはどこでも同じで、開票は農村や山間部などの人口の少ない地域から進んでいきます。このような地域は基本的に保守地盤ですから与党系が先行するのは当然で、その差は概ね二千票ぐらいで推移していました。しかし朝日新聞などの出口調査が伝えられた時は、私は今までにない違和感を持ったのです。それは、新潟市では与党系がやや先行しているというのが理由でした。

 

 投票率は前回よりも多い58.25%ですから、過去の経験から言えば、投票率が上がるほど野党系が有利になるはずです。しかも都市部は基本的に野党系が強いとされているのに、なぜか新潟市では与党系がリードしていると・・・・。いったい何が起きているのだろうか、と思いました。
 そんな気持ちのまま開票状況を見守っていると新潟市長の生インタビューが放送されたのです。それを聞いた時、私は思わず、あっ、と声を出してしまいました。そして「やられた、これは負けた」と確信したのです。まだNHKが当確を出す前の段階でした。

 

 私は、新潟市長がインタビューで言ったことが今回の選挙では大きく作用したと考えています。けれどもこの件に言及するのは後にします。その理由は今回の知事選では、これまでとは違った投票行動が起きたと感じたからで、ならば、まずは結果の分析をすることが必要だろうと思ったからでした。なにしろ数字はウソをつきませんからね。もっとも最近のこの国では、公務員が公文書を改竄してしまうので、はたして「数字はウソをつかない」と言えるのか疑問になりつつありますが。でも、まだ選挙に関しては大丈夫だと信じることにしました(^.^)

 

 

 

数字から見えてくるもの

新潟県・投票時有権者総数
2016年:1,944,049  有効投票数:1,031,408  投票率:53.05
2018年:1,909,368  有効投票数:1,112,142  投票率:58.25

34,000人余りも減少しているが、これだけでも地方の人口減と疲弊が推察される。

 

投票結果
2016年 与党系:465,044  野党系:528,455  その他(2人):19,790
2018年 与党系:546,670  野党系:509,568  その他(1人):45,628

※与党系は前回より8万票余り増え、野党系は19千票近く減少。
※泡沫候補扱いの安中氏だが、2人いた前回よりも25千票も増えている

 

市町村別票数状況(市町村数37 ※新潟市の区も市町村で換算) 
・与党系候補が上回った市町村数=26
・野党系候補が上回った市町村数=11
2016年選挙より与党系候補の票数が増えた市町村数=30
2016年選挙より野党系候補の票数が増えた市町村数=13

 

主な市町村
●新潟市
2016年 与党系:128,316  野党系:170,715
2018年 与党系:178,726  野党系:161,179

※与党系は前回より5万票を増え、野党系は95百票の減少。
※新潟県全体では有権者総数が減っているものの新潟市では増えている。これは県内での新潟市一極集中が進んでいるとも考えられる。

 

●長岡市 
2016年 与党系:72,224  野党系:62,081
2018年 与党系:61,348  野党系:64,406

※長岡市では新潟市と逆の現象が起きている。同時に、かつての越山会(田中角栄氏の後援会)地域では野党系が上回っているか、ほぼ同数の結果になっている。

 

●柏崎市
2016年 与党系:23,078  野党系:19,481
2018年 与党系:23,871  野党系:21,985

※ここは野党系候補の地元なので票を伸ばすのは当然かもしれない。ただ前回選挙でも再稼働容認候補の得票数の方が多く、今回でも上回っているのは、原発再稼働が雇用と交付金に直接的に繫がることを考慮すべきであろう。

 

※佐渡市では、与党系が21,344票で野党系が9,305票と、実に12,000票の差を付けている。ちなみに前回は約2千票差だったが、今回は与党系候補の出身地というのが大きく作用している可能性が高い。ただ、それにしても常識的な差とは思えないが。
※県北では与党系すべての市町村で上回っているが、上越市では野党系が約5千票、妙高市では僅差で野党系が上回っている。その他では、原発周辺地域の町村では僅差ではあるものの野党系の票数が多い。ただ刈羽村は約400票与党系が多いが、いずれにしても千票単位の差でしかない。

 

 今回の得票差は約37,000票ですが、新潟市では約17,000票・佐渡市で約12,000ですから合わせると29,000票になります。これを得票差から引くと約8,000票ですから、有効投票数が110万を超えていることを考えれば、ほぼ誤差の範囲内と言えるでしょう。ということは新潟市と佐渡市の得票が如何に大きかったかが理解できます。
 これを2016年で比較してみましょう。与野党候補の得票差は約63,000票ありましたが、野党系は新潟市で約43,000票もの差を付けているのです。なんと得票差の7割にも達しています。この数字から言えることは、知事選に於いては新潟市の趨勢で決するということです。まぁ当然と言えばそうなのですが、なぜなら有権者総数が約67万ですから、新潟県の有権者総数の35%も占めているのです。このような状況は、おそらく他の県でも同じではないでしょうか。

 

 

 

なぜ新潟市では逆転現象が起きたのか?

新潟知事選の歴史を見ると、保守合同以降では自民党支持もしくは推薦の候補者が勝っています。ただ一つの例外が前回の2016年でした。しかし新潟市長については1975年から1994年まで、いわゆる革新系が占めているのです。これは今回初めて知ったことで、新潟県の選挙を語るにはあまりに不勉強だったと恥じています。
 1994年以降は旧社会党の消滅ということもあり、実質的には、共産党を除いた「オール与党」の候補者が市長になっているようです。

 

これは実に面白いと思いました。少なくとも1990年代中頃までは、知事は自民党・新潟市長は旧社会党系という棲み分けがあったようなのです。そう言えばだいぶ前のことですが、新潟では戦前から農民運動の盛んなところで、その流れを汲んで旧社会党が強いと本で読んだことがありました。田中角栄氏の後援会も、実はこの流れがあるという記事も読んだことがあります。その中に、
10人も親戚がいたら、そのうちの1人ぐらい共産党員がいても当り前だ」
と言ったというエピソードがありました。
 要するに角栄氏の手法は、共産党員までも包み込んでしまう許容性があったということなのですが、それが越山会を生み、鉄の団結を誇った派閥を作り出したのかもしれません。そういう意味では田中角栄氏のDNAが、まだ新潟には脈々と流れているのかもしれませんね。

 

話が横道に逸れたので元に戻します。知事選に於いては新潟市での得票が決め手になるのは間違いなさそうですが、では新潟市長選はどうなっているのか。現在の市長は四期目の篠田昭氏です。なんと今年の秋に市長選が予定されています。

 

2014年・新潟市長選 有権者総数=658,862 投票率:40.57
無所属・篠田 昭 95,301 (支持・推薦 民主党・社民党)
無所属・吉田孝志 88,206 (支持・推薦 自民党)
無所属・斎藤 裕 79,851 (支持・推薦 共産党)

 

2010年・新潟市長選 有権者総数=658,806 投票率:31.04
無所属・篠田 昭 154,880(支持・推薦 なし)
無所属・石口徳夫  43,821(支持・推薦 共産党)

 

2006年・新潟市長選 有権者総数=651,467 投票率:40.71
無所属・篠田 昭 188,028(支持・推薦 なし)
無所属・萩荘 誠  52,440(支持・推薦 なし)
共産党・高橋弘之  22,655(支持・推薦 なし)

 

2002年・新潟市長選 有権者総数=413,521 投票率:39.18
無所属・篠田 昭 74,554 (支持・推薦 なし)
無所属・渡辺 洋 69,381 (支持・推薦 自民党・公明党)
共産党・高橋弘之 16,200 (支持・推薦 なし)

 

 もう一目瞭然です。現市長の篠田氏は自民党の単独支持を一度も受けていないという事実があり、しかも前回は民主党と社民の推薦を受けて僅差で自公推薦候補に勝っている。けれども驚くのは共産党推薦候補が8万票近くも取っています。いったいこれはどういうことなのか?

 

 基本的に篠田氏は民主党(民進党)系で、おそらくは連合の保守派の支持を受けている可能性が推測されます(実際はどうなのか私にはわかりませんが)。だから自民党としては面白くない。けれども公明党の推薦を受けても勝てなかった。たぶん公明票は分裂したのかもしれません。要するに2002年と2014年は同じ構図になったようです。しかし2006年と2010年は共産党を除いたオール与党体制ができたので無風選挙となった。
 ここで興味を惹かれるのは篠田氏の票数と自公候補の合計が183,507票になることです。今回の知事選の新潟市での与党系候補の得票数は178,726票ですから非常に似かよっています。しかし、もし篠田氏の得票数と共産党候補の得票を合計すると175,152票になり、知事選(2018年)での野党系の得票数は161,179票ですから、これもまた非常に似かよっています。ちなみに2016年は170,715票です。

 

ところが前回知事選では新潟市の与党系候補の得票数は128,316票しかないのです。その理由を考えると、これは新潟市のオール与党体制が分裂したと推察できます。おそらくは安倍官邸主導による泉田降ろしに反発し、選挙の際は動かずに、投票にも行かない人々がいたのでしょう。要するに自民党の内紛というか主導権争いが起きたがために、それが公明党にも影響して敗北を招いたと考えて間違いない。唯の内輪揉めだったことは、その後の衆議院選での泉田氏の立候補が証明しています。確かに過去の知事選でも保守系が分裂すると接戦になっているのですから、反原発で盛り上げたという要素があったとしても、冷静に見れば敵失で勝てたと見るべきだと思います。

 

今回は、その反省に立っていたことは明らかです。なぜなら、報道では自民党本部主導の強烈な締め付けがあったようですが、それは前回でもあったはずなので、それだけではこのような結果になったとは思えないからです。おそらくは自民党や公明党だけでなく、民進党系の与党でありたい人々と、同じく連合系の保守派をまとめ上げる人物がいたのではないか。それは、たぶん篠田氏であろうと思っています。そうでなければ新潟市で前回より5万票も増やすことなどできるはずがないからです。
 私は、どのような言動を篠田氏が用いたのか、その一端をインタビューで見つけました。これについては次回で書きますが、やはり実利がないと人は動かない、とだけ言っておきます。

 

 

 

無党派層に浸透しているのはどちらなのか

 新潟市長選の投票率は40%前後で推移しており、共産党以外の票は概ね15万から18万であることが伺われます。この数字から考えると純粋な自民票(どんな状況でも必ず投票する人々)は、おそらく10万前後だと思われます。公明票はよくわかりませんが、報道では新潟全体で8万票程度と言われているので、新潟市では半分くらいと考えるのが妥当でしょう。だとすると新潟市での自公固定票は14万前後と推測でき、共産党以外の野党系の固定票(どんな状況でも投票する人々)は4万~5万程度ということになりそうです。

 

2016年知事選の新潟市の投票率は把握していないのですが、得票数から察するとおそらく46%~47%ぐらいだと思います。今回は53.35%ですから、票数にすれば46千票ぐらい増えた計算になり、市長選の投票率から計算した場合では85千票程度に換算できます。
 今回の与党系得票数は178千票程度ですから、この数字から見ると、固定票を14万票とした場合では38千票程度を増やしたことになります。前回の知事選では128千票ぐらいですから、増えた5万票の内訳を見ると固定票が14万程度という数字も合致しています。

 

確かに与党系は伸びた投票数の8割を取った計算になります。けれども、これをどう見るかは難しい部分があるのです。と言うのは投票率の低い市長選から考えた場合、増えた85千票の半分はむしろ野党系に流れているからです。
 2014年の市長選から推察すると、おそらく公明党は自主投票だったと思いますが、大半は篠田氏に流れたと思われ、さらには民主党の保守系と連合の保守系、そして自民票の一部も得たと考えられます。ところが民主党のリベラル系と社民系は、篠田氏を嫌ったのか共産系の候補者に投票したと推測できます。なぜなら過去の市長選から考えれば、共産党の固定票はどんなに多くても3万票ぐらいだからです。

 

このように数字を追ってゆくと、完全なる反自公の固定票は10万票前後あることがわかります。そして14万と10万が基礎票だと考えた場合、2016年と2018年の数字から言えることは、58.25%という投票率でも与党系は38千票余りしか伸ばせず、野党系ではコンスタントに6万~7万票を取っているという事実です。むしろ野党系の方が投票率に左右されずに安定していることが伺えるのです。この6万から7万票は、紛れもない「反原発・反自公・反安倍」意志表示だと言えるでしょう。しかも新潟県全体でも、野党系候補は二回連続で50万票以上を獲得したのです。オール与党体制での知事選で泉田氏が獲得した票数が75万票余りだったことを考えると、この数字は驚異的だとも思えます。

 

以上の数字からはっきりしているのは、民進系や連合系の一部を取り込めないと新潟の自公は負けるというのが現実なのです。それがわかっているから強烈な締め付けを実施したのでしょう。しかし、それでもこれだけの接戦になったのです。ですから野党はなんら悲観することはありません。もちろん不十分な部分も多々あり、それが最後のところで伸びきれなかった原因ですが、これは後述したいと思います。
 今回の知事選で明確になったことは、原発再稼働問題は選挙の争点にはならなくなったことです。もう民意は示されている原発は「NO」なのです。だから原発再稼働容認と言わなかった与党系候補にも票が入った。けれども反原発の票数が二回とも50万を超えたという事実は限りなく大きいのです。このことを自覚しなければ次回の選挙で自公は手痛い目に遭わされるでしょう。新潟県民を舐めてはいけません。
 次回は「自民党が脱原発を掲げる日」です。

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Author:カイトアキラ
2017年の衆院選は歴史の転換期の一つに数えられるかもしれません。それは良い意味なのか悪い意味なのか、まだ誰にもわかりません。ただ私の感覚では悪い方向へと向かっているという気持ちが強くあります。しかし決して諦めるつもりもありません。私個人のできることなどたかがしれていますが、やらないよりやった方が良いことは間違いありません。そんな気持ちで今後もブログを続けます。

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