この国の未来を考える

世代の責任

はじめに

参議院選挙が近づいてきました。どうやら同日選はなさそうですが、今回の選挙は、これからのこの国を左右する大事なものとなるでしょう。一言で言えば、自公が過半数を取れば憲法改正への流れが加速し、野党が過半数を取れば安倍政権の横暴なふるまいが一休みします。
ここで重要なのは憲法改正への道を進んだ場合、どんな国になるのかを想像してみること。または野党が過半数を制した場合、進んだ針をどこまで戻せるかを想像してみること、だと思います。どちらを選択するか、あらゆる国民、あらゆる世代の人々の判断が問われるのは間違いなく、このような選挙は、おそらく戦後七十年の間で初めてではないでしょうか。
 
オートレースの未来を考えているうちに、この国のギャンブルの在り方について考えるようになりました。ギャンブル自体は様々な問題を抱えていますが、だからと言ってギャンブルを全面禁止するべきとは思っていません。しかしギャンブルは多くの人々を不幸にする可能性があります。そのような要素があるものを国や自治体が開催して良いとは思えないのです。本来なら制限すべき立場で、さらには不幸になった人々を救済すべき存在のはずです。
そんなふうに考えたとき、私は、この国はおかしいと感じました。そしてそれはギャンブルだけでなく、他の様々なことにも同じことが言えると思いました。そのような理由から、この国の未来に疑問を持ち「この国の未来を考える」というタイトルにしました。
 
 一回につき一つのテーマで書いてゆきます。
今回は「世代の責任」です。
 

戦場へ追いやる世代と追いやられる世代

「明治生まれの人間が大正生まれの人間を戦場へ追いやった」と、先の戦争を表現することがあります。日露戦争の終結が1905年ですから、本格的な戦闘という意味での日中戦争が始まるのは1937年ですので、実に32年の開きがあります。ということは日清・日露戦争の体験者が徴兵という形で戦場に出ることはなかったでしょう。職業軍人の体験者は、おそらく指導的な立場のはずですから、前線としての戦場に出ることは稀だったと考えられます。
大正・元年生まれは1912年ですので1937年なら25歳に相当し、大正15年生まれは1926年ですから昭和20年の敗戦時には19歳です。これでもわかる通り大正生まれの人々の青春期は、まさしく戦争の時代でした。各界の当時の指導者層は100%明治生まれですから、戦場へ追いやったという表現は正しいと思います。
 
2016年・平成28年の今、日本の各界で指導的立場にいる人々は100%昭和生まれです。団塊の世代も一部残っていますが、多くは高度経済成長期に少年期や十代で、バブル期には20代・30代だった人々です。安倍首相もこの世代に該当し、これを書いている私も同世代の人間です。
 
昨年、安全保障関連法案が成立したとき、昭和生まれの人間が平成生まれの人間を戦場へ追いやる可能性が出てきた、と書かれた文章を読みました。
その通りだと思います。
平和のありがたみを一番享受した世代の人間が、安全保障の環境が変化したという理由で、なおかつどう変化したのかも説明せずに、こともあろうか憲法解釈を変えて自国の領土以外に自衛隊を行かせる法律を作ったのです。
平成生まれの人々の幸福と生命を奪う権利など私たちの世代にあるわけがありません。その危険に今、最もさらされているのが自衛隊の人たちではないでしょうか。
 

徴兵制がなかったのは幸せでした

1958年・昭和33年生まれの私が、この国に生まれて一番良かったと思うのは徴兵制がなかったことです。さらに言えば他国に攻められることもなく、生活をしている場所が戦場になることもありませんでした。現在のイラクの状況を思い浮かべてみましょう。私たちが如何に幸せか、理解できるはずです。
先の戦争で辛酸を舐めた世代の人々が、その経験から戦争だけはやるべきではないと強く望んだ結果、日本という国は平和が続きました。私たちはその恩恵を一身に浴びた世代なのです。安倍首相だって同じように恩恵に属した一人です。
 
しかし私たちの世代は、そのありがたみの上にあぐらをかき、この国の問題点に目を背けて生きてきました。その代表的な例は原発問題です。
 
1979年にはスリーマイル島原発事故、1986年にはチェルノブイリ原発事故が発生しました。1979年と言えばアメリカの社会学者が日本の高度経済成長を分析し、日本的経営を高く評価した著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーになった年でもあります。1980年代は安定成長期と呼ばれ、日本の企業がアメリカの不動産を買い占めたりなど、円高ドル安が始まった年代でもあります。多くの日本人が自身に溢れ、活気があったのも事実です。そしてその頂点が、いわゆる「バブル」の到来でした。
 
そんな時代に起きた原発事故。
 
他国の出来事という認識だったとはいえ、私を含めた若い世代の反応が鈍かったと記憶しています。ただ言い訳になるかもしれませんが、それなりに関心はあったので、討論番組や書物などから得た知識で原発反対になりました。理由は単純です。放射能を除去する技術がないからです。
原発推進側は、放射能漏れという事故は起きないという立場でしたから、除染技術について詳しい説明をしていなかったことを覚えています。この件に関して言及する必要はないですね。実際に事故は起き、21世紀の現在でも放射能除去の技術は確立されていません。
 
もし、今のシールズのように多くの若者が反対の声を上げていれば、原発をなくすことはできないとしても、もう少し状況が変わっていた気がします。けれども私たちの世代の多くは原発事故を自らの問題と受け止めず、「バブル」というまやかしに浮かれて思考を停止し、狂乱の時代に身を任せてしまったのです。
 
バブル崩壊・失われた10年・日本的経営の幻想・自衛隊のPKO派遣など、この国は徐々に変わってきました。けれども私たち世代は、この流れにどれだけ抗ってきたでしょうか。そしてついに自国の領土以外で日本人が戦闘を行うことを可能にしてしまいました。私の同世代である安倍首相が・・・。もちろん彼一人で可能にしたわけではありませんが。
 

「世代の責任」を果たすために

巨額の財政赤字を次の世代や、まだ生まれぬ世代にまで押しつけようとしています。さすがに今の若者たちは、その理不尽さに気づきはじめています。そうです、もっと抗議の意志を示し、こんな世の中を作ってしまった世代にNoと言うべきです。
 
老後破産や介護疲れによる殺人など、こんな殺伐した社会を作ってしまったのは紛れもなく私たちの世代です。
長期にわたる自民党政権を支えたのは誰でしょうか? 私であり、あなた、なのです。その結果として今の世の中があることを否定できるでしょうか。ですから私たち世代は、もう我慢すべきです。お金は未来のために、次の世代ために使うべきなのです。なぜなら、どんなに悲惨な老後でも、老人社会の中でどんなに苦闘しても、しっかりとした社会保障を築けなかったのは我々自身だからです。その責任を取らずに次の世代に押しつけて良いとは思えません。
けれども、新たに選挙権を得た十八歳以上の人々や二十代の人々、そしてもうすぐ社会の中枢で活躍する三十代の人たちも条件は同じです。自分たちの未来を考え、しっかりと選択しなければ繰り返しになり、そうなれば同じように、あなた方世代の責任ということになるでしょう。


「指摘」し「伝える」ことの大切さ

年齢を重ねた人間の利点は、それなりに知識が蓄えられていることや経験が豊富にあることでしょう。もちろん全てが良いほうに作用するわけではないですが、そういう観点を前提として、例えば中国が攻めてくるとかの言説が、如何にまやかしか、というのを経験的に知っています。近いうちにこのテーマで書きますが、簡単に言えば、私が十代の頃にあった「ソ連脅威論」と中身がそっくりだからです。これも昔を知っているから言えることの一つですが、しかし若い頃は、いわゆる「まやかし」の言説に惑わされることが多いのも事実で、私も「ソ連脅威論」に惑わされた一人でした。
若い人々を惑わす言説に対して、それが「まやかし」であることを指摘すること。これも世代の責任ではないでしょうか。
 
私は言論人でも、社会に一定の影響力を持っている人間でもありません。さらに言えば政治活動をしたこともなく、社会の末端でずっと生きてきた人間です。しかしそんな私でも、この国の未来が危うい、と強く感じています。けれども、そんな危機感を持ったまま老いてゆき、何も言わず何もしないで死んでゆくとすれば、無責任だと批判されても仕方がないでしょう。
私と同世代の人間として香山リカさんがいます。彼女も「世代の責任」という言葉を使っていますが、ヘイトスピーチに対するカウンター行動や反橋下徹氏などは、まさしく「世代の責任」を果たしていると言って良いでしょう。
私には彼女のような発言力や影響力はありません。しかし私たち世代の言動で、少しでも良い社会を築こうと考えてくれる若者が一人でも多く出現してくれたら、このブログを書く意味もあると思っています。
私は、自らの世代が安心して去ってゆくために、未来を映し出す問題点を指摘し、我々の失敗と希望を「伝える」ことを続けるつもりです。

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プロフィール

カイトアキラ

Author:カイトアキラ
もうすぐ老人と呼ばれる年齢になりました。
今までオートレース・ギャンブルについて書きましたが、今の日本の状況を考えると、たとえ影響力がなくても、もしかしたら若い人たちに響いてくれたら、という微かな希望を持ってブログを続けようと思います。
偏っていると感じるかもしれませんが、私は個人ですので、ご了承の程をお願いします。

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