この国の未来を考える

もう一人の「暴言大統領」・ドゥテルテ氏に注目しています。その1

「暴言」大統領と次期「暴言」大統領

トランプ次期大統領についての報道はまだ続いていますが、どこかの国の首相が真っ先に会いに行きました。それをどう解釈するかは立場によって違うでしょうが、私には擦り寄りが露骨だなと思えました。なんかシッポを振って御主人様に駆け寄る犬みたい・・・・。こんな表現をしたら犬たちに失礼かな。なぜなら彼らは本能でしていることですから。
正直、トランプ氏に関して私はあまり興味がありません。前回でも書いた通り、悪い意味での「アメリカらしさ」が強くなるだけと思っているので、それ以上でもそれ以下でもないと考えているからです。むしろ私は、もう一人の「暴言大統領」といわれている人物に興味を惹かれています。

二人とも暴言で注目されていますが、その内容はだいぶ違います。代表的な例としては、麻薬密売人や麻薬常習者に対する超法規的な行為を、アメリカや国連やアムスティなどから批判されていることに対する反論としての「暴言」です。短い言葉が色々と伝えられていますが、まとめると要旨は下記のようになります。
「人権・人権と言うが、国連やアムスティのくそったれどもは、アメリカによるフィリピン人への人権侵害に対して、何かをしたことがあるのか!」
皆さんはどう考えますか? 私は、ずばりアメリカの本質を突いた「暴言」だと思っています。


独裁者を民主的に倒した国

私ぐらいの世代は、フィリピンの若い女性たちがタレントとしてバブル期に大量に日本に働きに来たので、それなりに親近感を持っているのですが、今の30代や20代の人たちはそうでもないようです。かなり昔のことですから関心が薄いのも当然ですが、今後、介護従事者として増える可能性があるので再び注目されるかもしれません。
そのようなことを踏まえてフィリピンについての報道を見ると、少し首を傾げるものが多いと感じています。特に大統領選挙に関しては基本的なことを間違っているものもありました。

若い人たちは知らないかもしれませんが、フィリピンは民衆の力で独裁者を追放した経験のある国なのです。
マルコスという独裁者を1986年に武力や暴力を用いずに倒しました。ピープルパワー革命、またはエドゥサ革命とも言われていますが、ちょうど久米宏氏のニュースステーションがスタートしてから半年後のことで、マニラから生中継をしたのが、あの安藤優子さんでした。確か彼女はこれで全国的に名を知られたはずです。この時はまだリポーターの一人だったのです。
前述したように当時の日本はバブルに入り、多くのフィリピン女性が日本で働き始めた頃でしたから、そのニュースは多くの関心を集めました。

ここで皆さんに紹介しておきますが、この時に作られた(改正された)憲法を「1987年憲法」とフィリピンでは言われています。注目すべきは外交に関する第二条・第二項です。
「フィリピンは、国家政策の一手段としての戦争を放棄し、普遍的に認められている国際法の原則を国法の一部に適用し、あらゆる国家に対する平和・平等・公正・自由・国際協力・友好を政策として誠実に守る」
日本国憲法・第九条を参考にしているのは明らかでしょう。さらに、第十八条二十五項には次のように規定されています。
「フィリピン共和国とアメリカ合衆国の間で締結された軍事基地条約が1991年に失効したのちは、フィリピン国内における外国の軍隊、基地または施設は、上院の承認を得た条約に基づいて設置される場合を除いて認められない。またそうした条約は、国会の要請があれば批准の是非を問う国民投票を実施して過半数の賛成を得たのちに、締結相手国との条約を認めるものとする」

 

米軍基地を撤去させた国

1991916日、1987憲法の規定に沿った出来事が起きます。
「偉大な12人の上院議員」と呼ばれる人々が、フィリピン駐留米軍基地の存続を承認する基地条約を拒否したのでした。これによって米軍は、フィリピンに駐留する法的根拠を失って1992年に全面撤退をすることになったのです。
フィリピンの上院は、大統領になるために外交や政策について〝研鑽する場所〟と認識されています。いわばフィリピンにおける「政治エリート」たちが集まるところでもあるのです。そのような人々が米軍駐留を拒否したのでした。
米軍が駐留しても困らない、いや、むしろ権益を得ていたであろう政治エリートたちが、なぜアメリカに対して反旗を翻したのか。このことでもわかるとおり、政治エリートたちでも「反米」が存在していたのです。日本のように、体制側の政治家や官僚たちの全てが「親米」になっているのとは大きく違っているのです。

では当時の政権はどうだったのか。当時の大統領はコラソン・アキノ氏で、マルコス政権下で暗殺されたベニグノ・アキノ・ジュニア上院議員の妻だった人ですが、アキノ政権幹部と官僚たちはアメリカの意を受けて承認をさせようと動きました。けれども、ことごとく跳ね返されたのです。なぜなら国民の大半が「偉大なる12人の上院議員」を支持したからです。
フィリピン大統領選を伝える日本の報道の中で、コラソン・アキノ大統領が米軍撤退を主導したみたいな記事があったのには驚きました。きちんと調べていない証拠です。

米軍のフィリピン撤退が中国の南シナ海進出を招いたという言説がありますが、これは間違いです。1995年に中国がミスチーフ礁を実行支配しましたが、ここはどの国も支配していなかったところで、もちろんフィリピン領でもありません。よく誤解されているようですが、フィリピンやベトナムやインドネシアが実効支配している場所を中国が武力で奪ったことは一度もないことだけは知っておくべきです。

フィリピンの要請で米軍が再び駐留するようになったと言われていることですが、これも事実ではありません。基地条約が失効しても他の軍事協定が有効だったので、基地自体はなくなりましたが、フィリピンでの米軍の行動は可能だったのです。その一例が1999年に批准された「訪問米軍地位協定」で、アメリカは撤退直後から歴代政権に対して様々な〝交渉という名の圧力〟を続けていたのです。詳細は下記に提示した本を参考にしてください。日本人にとって示唆の富む内容が多く記されています。

 

フィリピンは「親米」ではない

多くの日本人が誤解しているのは、フィリピンが「親米」だと思っていることです。ついでに言えば「親日」だとも。
フィリピンについてある程度知っている者からすれば、これは大きな間違いで、フィリピンでは「反米」と「親米」が絶えず争っていると考えるのが妥当だと思います。もっとわかりやすく言えば、マニラの政治エリートと官僚は親米で、地方と民衆は反米が多いという印象です。

フィリピンという国は7100以上の島からなる島嶼国家で、8大言語を含む100近い言語集団があると言われています。ですから単一民族であるはずもなく、しかもスペイン・日本・アメリカの植民地だった経緯もありますから、日本人が一般的にイメージする「国家」とは程遠いものがあります。
この国の最大の問題は経済格差で、富豪と呼ばれる人々と貧困層との差は日本人の想像を遥かに超えています。いわゆる中間層とよばれる人々は近年増えてきましたが、数としてはまだ少なく、他の東南アジアの国々と比べても所得水準は低いままです。ただ経済成長は毎年10%近くに達しており、若年層の多さが特徴的でもあることから市場的には魅力ある国でもあります。けれどもフィリピンにも〝南北問題〟が存在するのです。経済的繁栄は北部であるルソン島に集中しているからです。

マニラの政治エリートたちとは、植民地時代や独立後も政治的・経済的実権を握ってきた層で、大半はルソン島を中心に、主にスペインや中国の血を引くメスティーソ(混血)と呼ばれる人々です。いまだに多くのフィリピン人は肌の白いことに憧れる傾向がありますが、上流階級への憧憬もあるのでしょう。ただし中国系と呼ばれる人々は、基本的には経済的実権のみであることが多いようです。同じメスティーソでも、そのような棲み分けが依然としてあると聞いたことがあります。
そのような前提から考えるとドゥテルテ大統領の誕生は、私から見ればとても奇異に感じました。彼はレイテ島で生まれた南部の出身だからです。経歴等を見るとメスティーソのようで中国の血が入っているようですが、父親も政治家だったことからみれば、南部地域ではいわゆる上流階級に属していたのかもしれません。けれども彼が政治活動した地域はミンダナオ島です。ここはフィリピンとはいってもマニラとは、ある意味まったく違う地域で、米軍が対イスラムとして昔から展開しているところです。もちろん悪名高き〝地位協定〟も存在していますから、米軍はやりたい放題と言われています。ドゥテルテ氏はここで検事を10年間、ダバオ市長として20年を過ごしました。彼の目に米軍はどのように映っていたのでしょうか。

長くなりましたので今回はここまでにします。次回は、なぜフィリピン民衆はドゥテルテ氏を選んだのか、ドゥテルテ氏が目指すものは何か、などについて書くつもりでいます。これらは日本にも大きく関係してくると考えています。

 

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Author:カイトアキラ
もうすぐ老人と呼ばれる年齢になりました。
今までオートレース・ギャンブルについて書きましたが、今の日本の状況を考えると、たとえ影響力がなくても、もしかしたら若い人たちに響いてくれたら、という微かな希望を持ってブログを続けようと思います。
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