この国の未来を考える

正義はどっちにある? 従軍慰安婦少女像について考える

暦の上では新しい年になっても、365日の一コマに過ぎないと思っているひねくれ者ですが、このブログを読んでくれている方々には心から感謝しておりますので、どうか今年もよろしくお願いします。


従軍慰安婦問題を「不可視化」する?

本来なら他のことを書こうと思っていたのですが、釜山・日本総領事館前に設置された従軍慰安婦少女像について書きたいと思います。
日本政府は、2015年末に交わされた日韓合意の履行に準じるという理屈で少女像の撤去を求め、さらには対抗措置も講じました。アメリカやロシアに対する「ポチ」ぶりとは違って相当な強硬姿勢です。従軍慰安婦の大半が朝鮮半島の人々と中国大陸の人々だったことから考えると、これも〝民族差別〟なのでしょうか。でも日本人はアジア人ですけどね。自分たちは差別されていないと思っているのかな?

私は、一昨年末に突然交わされた従軍慰安婦に関する日韓合意は、おそらくダメになるだろうと思っていました。なぜなら安倍政権の姑息な思惑が透けて見えるからですが、もちろん今回のような事態を想定していたわけではありません。けれども不可逆的とか、次世代まで引きずらないためにとか、日本にとって都合の良いことばかりを並べても、その本心は10億円を払うから、何も言うな、何もするな、と要求しているのと同じだからです。それは結局のところ、従軍慰安婦問題を〝見えなく、または見えにくく〟しているに過ぎません。

可視化の同義語は顕在化で、反対語は不可視化です。顕在とは「はっきりと形に表れて存在すること」という意味ですが、反対語は潜在となっていました。安倍政権は従軍慰安婦問題を「不可視化」もしくは「潜在化」したいのでしょう。なぜなら従軍慰安婦問題を根元的に問い詰めていけば、明治憲法下の日本そのものを否定することになり、戦前回帰への意識が強い安倍首相には逆立ちしてもできないことです。
安倍首相と政権の最大目標は憲法改悪ですから、その障害となるものはなるべく隠したい。けれども従軍慰安婦問題を突き詰めたら、戦前の日本の姿が赤裸々に暴かれることになる。と言っても戦後の歴代政権(自民党)は、同じようなことをずっとやってきましたが。

例えば被差別部落問題や在日の問題も、行ってきた政策は〝見えなくすること〟を第一義としていました。被差別部落については経済的援助がその最たる例ですが、もし被差別部落問題を根元的に問うたら、最終的には天皇制の是非まで行きつくことになります。在日問題も突き詰めたら、植民地化の不当性や朝鮮半島での犯罪行為にたどり着くのです。そのような事柄が国民に対して明らかにされたら憲法改悪など永遠にできません。だからこそ、なるべく〝問題〟を目立たないようにしなければならない。

 

従軍慰安婦とは何か

多くの日本人が勘違いしているのは、昔の遊郭の女性たちや、現在の性風俗に従事している女性たちと従軍慰安婦を混同していることです。けれども勘違いしている人たちは、従軍慰安婦にさせられた女性たちの証言や、従軍慰安婦問題の研究書をろくに読んでいないことが多いのです。

いいですか、従軍慰安婦とは、その言葉の通り、軍隊(部隊)と共に行動させられ、戦場まで連れて行かれ、そこで兵士たちの性欲処理の相手をさせられた女性たちなのです。従軍慰安婦はいなかった、あれは売春婦だ、と叫ぶ人たちよ。少なくとも女性たちの証言や旧日本軍兵士の証言を読むべきです。繰り返しますが、ある程度の治安が守られていた都市の遊郭や置屋とは、その性質も目的もまったく違うのです。まさしく日本軍人のための、日本軍人の性欲を処理するためだけに存在したのです。

いつだったかは忘れましたが、関西の市長だったか知事だった人が、在沖米軍兵士は性風俗を活用すべきだ、とか、従軍慰安婦は世界のどの国でも存在した、などの発言をしたことがありました。確かにイギリスやアメリカでも軍隊専用の〝慰安〟施設を一時的に作ったことがあるようです。しかし兵士の帰りを待っている家族たちの気持ちを考えれば、とても継続できないということですぐに閉鎖をしました。宗教的なものもあったでしょうが、当然と言えば当然です。

では、なぜ日本に、これほど特徴的に存在したのでしょうか?
理由は二点あります。一つは兵士の性病蔓延を防ぐため。もう一つは「強姦」を減らすため・・・。
従軍慰安婦に否定的な人たちは性病に関しては言及しますが、強姦に関してはまったく触れません。従軍慰安婦を大量に作り出したのは中国侵略以降からですが、ここで旧日本軍の残虐行為を記しませんが、とにかく強姦が多かったことだけは、様々な資料が残っているとだけ明記しておきます。
ところが、なのです。従軍慰安婦を徴用しても「強姦」はあまり減りませんでした。ついでに言えば性病も。なぜでしょうか? ヒントは「侵略軍の性格」というものです。歴史を紐解けば理解できますよ。暴虐の限りを尽くすのは、いつの時代でも「侵略軍」です。そして反撃するのが「抵抗軍」なのです。どうか、ご自分で調べてみてください。

 

「性奴隷」を認めない日本政府

日本政府は、従軍慰安婦の存在と旧日本軍の関与を公式に認めていますが、「性奴隷」ではなかったと国連などで言っています。しかし「性奴隷」ではないとしたら、いったい何なのか?
詳細は、ぜひ『従軍慰安婦』・吉見義明著(岩波新書)を読んでください。この人の資料発掘によって日本政府は従軍慰安婦関与を認めることになったのですから。

要点だけ書きます。
●戦場に設置された基地内に隔離され、兵士たちの相手をすることを拒否することが許されたのか・・・
●逃げたいと思っても周囲が戦場では、どんな自由があるというのか・・・
●小部隊(15人~30人程度)が長期の掃討作戦に出る時は、その部隊に随行を命じられていた・・・

ちなみに日本で唯一の地上戦が繰り広げられた沖縄では、多くの朝鮮人慰安婦がいたことが記録に残っています。これだけを見ても、どんな存在で、どんな扱いを受けていたか、容易に想像できるではありませんか。

 

謝罪と和解

従軍慰安婦問題を含めた旧日本軍の犯罪行為について考えると、私はどうしても、ウンデットニーを象徴としたネイティブアメリカンの歴史を思い起こしてしまうのです。

18901229日・サウスダコタ州ウンデットニーで、先住民族であるスー族がアメリカ軍第七騎兵隊によって虐殺された事件。
19732月・度重なる差別と暴力に怒ったネイティブアメリカンたちが、約70日間に及んでウンデットニーを占拠した事件
1996年・当時大統領だったビル・クリントンが、ネイティブアメリカンを保護するための大統領令に署名し、実質的な謝罪を行った。

ネイティブアメリカンとはアメリカ先住民のことです。これにはハワイ系住民も含まれていますが、大半は「インディアン」という蔑称で呼ばれた人たちです。「インディアン」は差別用語なので私は使いません。

なぜ思い起こしてしまうのか? それはアメリカ政府が実質的な謝罪をするまで、虐殺から実に100年以上も経過していたからです。けれども満足とはいかなくても、間違いを認めさせ、謝罪をさせ、保護を約束させたのです。それまでは苦難の連続だったでしょう。私のような〝恵まれた〟日本人には、その苦しさや怒りを本当に理解することは、決してできないと思っています。

保守系の人たちの言い分で「いったいいつまで謝罪すればいいのか」というのがあります。それに対して私は『永遠に』と答えることにしています。なぜなら、実際に起きた事実は〝永遠に〟消えないからです。それは50年過ぎようが100年過ぎようが・・・。問題は時間ではなく、起きた事実に対してどう向き合っているのか、なのです。その姿を見て、虐殺された側・差別された側・侵略された側が、どう感じ、どう思うか。それが全てなのです。ドイツを見てください。不十分だと批判もされますが、隣国から信頼を得ているではありませんか。

朝鮮半島の人々と本当に〝和解〟をしたいのなら従軍慰安婦少女像を日本に持ってくるべきです。そして従軍慰安婦に関する記念館を設置し、過ちを二度と犯さないための啓蒙拠点として多くの人々にも伝えてゆく。そのようなことをすれば朝鮮半島の人々のみならず、中国や他のアジアの人々も、きっと日本人や日本という国に信頼を寄せてくれるでしょう。
20年後か30年後かわかりませんが、日本政府は必ず謝罪に追い込まれると私は思っています。なぜならそれが〝歴史の必然〟だからです。

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Author:カイトアキラ
もうすぐ老人と呼ばれる年齢になりました。
今までオートレース・ギャンブルについて書きましたが、今の日本の状況を考えると、たとえ影響力がなくても、もしかしたら若い人たちに響いてくれたら、という微かな希望を持ってブログを続けようと思います。
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