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この国の未来を考える

「司法の歪み」を正すことはできるのか

日本とアメリカの「違憲立法審査」の違い

 711日から、いわゆる「共謀罪」が施行されます。78日の朝日新聞デジタルに憲法学者である木村草太氏のインタビュー記事が掲載されていました。詳細は省きますが要点としては、あくまでもテロを目的とした事件、または指定暴力団のように、あらかじめ組織的犯罪集団と指定したものだけを対象とする、といったような工夫が必要で、運用に際しては限定的な解釈を裁判所に求めることが大事だと指摘しています。現状の条文では違憲になる可能性が極めて高いとも言及しています。
 木村氏の指摘はもっともで、実際に裁判になれば非公開でない限り無罪判決の出る可能性が大きいと思います。しかし安倍政権・自民党の目的は〝運動つぶし〟〝反対者への威嚇〟ですから、無罪になろうが当面は抑え込めればいいと考えているのでしょう。

 

憲法・第八十一条には、こう記されています。
「最高裁判所は、一切の法律・命令・規則または処分が、憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」
 いわゆる違憲立法審査権ですが残念ながら日本の最高裁判所は、自民党政権の下請け機関もしくは追認機関と化しています。とは言え、違憲の判断が出ることもありますから、とりあえずは審査する権限を放棄はしていないようです。
 ところが日本の裁判所は、法律が違憲であるかどうかの判断を直ちにするわけではありません。基本的には、訴えの資格があるかどうか、もしくは法律によって実際の被害があったのかどうか、を厳密に問うのです。

 

ここがアメリカとは違うところです。トランプの出した大統領令を州の裁判所が違憲判決を出したと報道されましたが、これは州の司法長官が違憲の可能性が極めて高いからと提訴したからでした。大統領令が「施行」される前にしたのは、訴訟社会のアメリカでは違憲の可能性が高い命令を実行した場合、とてつもない損害賠償請求をされるリスクがあるからです。もちろん人権に対する意識が日本とは比べものにならないですから、そのような要素も当然ありますが。

 

日本では施行されてからの判断が基本です。しかしこれでは「冤罪」で起訴された人は堪りませんよね。いくら国家賠償法があるとはいえ、逮捕されて拘束された時間や精神的苦痛を金で取り戻すことはできません。

 

 

法律の成立過程に「瑕疵」があった場合は?

 「共謀罪」を成立させるために安倍政権と自公および維新は、中間報告という聞きなれない手法を用いて強行採決をしました。私も知らなかったのですが、とりあえず六法全書を開いて条文を読んでみました。

 

国会法・第五十六条の三「委員会の中間報告」(全文を掲載します)

1、各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる

2、前項の中間報告があった案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる

3、委員会の審議に期限を附けた場合、その期間内に審査を終わらなかったときは、議院の会議においてこれを審議するものとする。但し、議院は、委員会の要求により、審査期間を延長することができる。

※赤字は筆者

 私は法律の専門家ではありませんが、少なくとも日本語を読解する能力はあると思っていますし、法律が「解釈と運用」であることも理解しているつもりです。しかし何度読んでみても与党の行為が条文に適しているとはどうしても思えません。

 

 もともとこの法律は野党が委員長だった時に、故意に審議を遅らせたりした場合のものと解釈されているようです。実際にそのような例があり、その際に使われたという記事も読みました。
 では参議院・法務委員会の委員長は誰だったでしょうか? 公明党の議員です。彼がサボタージュをしていたのでしょうか?
 次は、その二に明記してある、特に緊急を要すると認めたとき、です。何か緊急な要件があったでしょうか? 新聞などを調べましたが具体的な事柄を提示したものは見つかりませんでした。東京オリンピックは2020年ですし、条約の調印を急かされていたなんて話もない。他に何かありますか?
 その三に「委員会の要求により、審査期間を延長することができる」とありますが、これは極めて重要です。要するに、本議会の審議のみとすることに歯止めを掛けていると解釈できるからです。

 

 いずれにしてもこの条文には「採決」に関する言葉は書かれていません。確かに委員会の要求を決める時や、議院が必要と認める、または緊急性の有無を問う時に「採決」が必要となるのは理解できます。けれども多数の力で決めて良いことなのでしょうか? そもそも与党の都合による運用など想定していないはずです。
 ここで問わねばならないのは、このような「解釈と運用」は憲法の精神に反するのでは、ということです。もっと厳密に言えば「委員会の中間報告」という法律に対して、今回の与党の行為が、はたして適法なのか、または憲法上も問題がないのか、ということになるのです。

 

 裁判所には仮処分という権限がありますが、簡単に言えば訴訟の目的である権利の保全のためになされる暫定的な措置で、債権者の保護や仮の地位の保全などの様々なケースで用いられます。
 今回の「共謀罪」は〝内心の自由〟が侵される危険があるという、基本的人権に関わる重大な問題を抱えているのに十分な審議がされず、なおかつ成立過程に瑕疵が疑われる状態で施行されるのです。同時に、参議院・法務委員会の野党議員たちは審議する権利を奪われてしまいました。これは国会議員の権利が侵害されたと考えるべきで、それゆえに私は思ったのです。
「施行差止めの仮処分申請が可能ではないのか」

 

 成立過程に瑕疵の疑いがあるのなら、それを審議して結論が出るまで法の施行を止めるための「仮処分」です。参議院法務委員会の議員なら「訴えの資格」が十分にあると思います。審議をする権利を奪われた当事者であり、同時に、その被害にあった本人でもあるからです。

 

これは法律の中身を問うのではなく、成立過程が適法なのかを裁判所に判断してもらうことです。もし瑕疵があるのなら内容に関係なく法律としては無効、という考え方があっても良いと思うのです。このような裁判所の姿勢があれば、数の力で何でも押し切ってしまうという暴挙はなくなるのではないでしょうか。

 

期待ができないのは承知していますが、少なくとも〝瑕疵〟があったのか、その判断を裁判所に委ねるべきでした。もう遅いですが・・・・
 ちなみに違憲立法審査権に基づいて「共謀罪」の差止め仮処分申請をすべきと言ったのは、元参議院議員の平野貞夫氏しか私の知る限りはいませんでした。他の法律家でいらっしゃるかもしれませんが、なぜか法律の施行を諦めている雰囲気に私は違和感を持っています。武力以外のあらゆる手段を用いて〝抵抗する〟のが本当ではないでしょうか。

 

 

検察が歪んでいた場合はどうしたらよいのか・・・

「詩織さんへのレイプ揉み消し事件」について、下記の記事とラジオ番組を提示しておきます。

 山口敬之レイプ疑惑はどうなったのか? 詩織さんに相談されていた記者が証言! 作家の中村文則も不起訴の経緯に鋭い分析(リテラ)

 【大竹まこと×清水潔×倉田真由美】詩織さんから2年前受けた相談 山口敬之レイプ疑惑事件の真相(YouTube

 

 リテラの記事の中で山口記者の本の出版に対するタイミングを疑問視している部分があります。これは作家である中村文則氏の指摘ですが、私も以前にこのブログで同じようなことを書きました。ですからもう一度、問いたいと思います。
「山口記者が準強姦罪で書類送検されていることを、安倍首相が知ったのはいつですか?」

 

常識という面から言って、準強姦罪で書類送検されている記者のインタビューを一国の首相が受けることはあり得ないと思います。もし本人が望んだとしても周囲が諫めるのが普通でしょう。ところがそれだけではなく、総理本人の写真が表紙を飾っている本を出版したのです。安倍首相は山口記者が無実だと信じていたのかもしれません。だとしても検察の判断が出るまで待つのが常識ではないでしょうか。けれども、まるで不起訴になるのを知っていたかのように出版されたのです。中村氏がズバリ指摘しています。
「首相を礼賛する本が選挙前に出て、もしその著者が強姦で起訴されたとなれば、目前の選挙に影響が出る」
もし本当に中村氏の指摘通りのことが行われたのなら、まさしく権力者の私的理由で「司法が歪められた」と言っても過言ではないでしょう。

 

警察官僚が恣意的な捜査をしたとしても、それに歯止めをかけるのが検察です。ところが検察官は嫌疑不十分で不起訴にしました。理由を開示する義務がないのは承知していますが、おそらく大半の人は違和感を持ったはずです。確かに、不服があれば検察審査会に申立てをできる制度があります。しかし望み通りになる保証はありません。
 検察官まで〝歪められている〟とは思いたくありませんが、政治家の絡んだ贈収賄事件ならともかく、これは刑事事件で被害者は女性です。不起訴にした検察官は、いったいどういう人物なのだろうか、という深い疑念しか残りません。

 

 「司法の歪み」を正すことができるのは国会だけです。改めて書くまでもなく国会は〝国権の最高機関〟で国政調査権を有しています。もし司法に自浄能力がないのなら、三権分立である以上慎重にならないといけませんが証人喚問をして真相を究明すべきだと考えます。しかし現状では不可能ですからこれだけは言っておきます。
次回の総選挙で国会の勢力図を変えなければならない!

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カイトアキラ

Author:カイトアキラ
2019年は強権国家への道を阻むことができた最後の年だったと、20年後や30年後に言われているかもしれません。もっともその時、日本という国家または日本人という民族が存続しているのかわからないけれど。
今夏には参院選があり、同日選も取り沙汰されています。ここで、少なくとも参院選で与野党が逆転しなければ「安倍独裁」が冗談ではなくなるでしょう。けれども野党の動向を見ていると心もとないと言うしかありません。しかし諦めたらそれで終わりです。微力ながら発言を続けていきます。

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